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あの道の向こうまで(エルメス×キノ)

基本的に非情でドライな世界観の『キノの旅』。
旅の相棒であるエルメスとキノとの関係もあっさりした感じを受けます。
でも、ときどき垣間見える互いを思いやる雰囲気が良いのですよね。
というわけで、エルキノ。
序盤、キノが暴漢からムリヤリ行為を強いられる場面があるので、苦手な方はご注意ください。




断続的に木々の間に響き渡る悲痛な叫びを、僕は何一つ出来ずに聞いている事しか出来なかった。一人では何一つすることの出来ない存在、モトラドである自分が恨めしかった。
「…うあ…ああっ!……や…も…もうやめ…ひあああっ!!」
僕の目の前で、これまで僕を運転して一緒に旅を続けてきた大切な相棒、キノが犯されている。
僕に見せつけているつもりなのだろうか、キノを犯している男たちは、時折キノの顔をむりやり僕の方に向けさせる。
その度に嫌々と首を振り、弱弱しく抵抗するキノの姿を見て、男たちは下卑た笑みを浮かべる。
もうかれこれ何時間この状態が続いているのだろう?乱暴に扱われ続けたキノの体は傷だらけで、その瞳からはとめどなく涙が溢れている。
普段の冷静な表情は完全に消え去り、ただ泣き叫び陵辱を受け続けるキノ。男達に注射された薬の呼び起こす異常な快感がその精神力を蝕み、削り取っていく。
「やら…も…やら……も…やなのに…やなのにぃ……っ!!またぁっ!!!やあああああああああっ!!!!!!」
何度目か知れない強制絶頂に登りつめ、キノの体からぐったりと力が抜ける。
しかし、男たちはなおも満足せず、容赦なくキノを責め立て続ける。前も後ろも口の中も、キノの体の穴という穴を犯し、体中を白濁に汚し尽くす。
そもそもの始まりは今日の午後の事だった。
水浴びをしていたキノの前に5人の男たちが現れた。血走った目に、荒い呼吸、正気の人間とは到底思えない彼らは一斉にキノに襲い掛かった。
常に警戒を怠っていなかったキノだが、それでも水浴びの最中はいつもより無防備にならざるを得なかった。
二人を撃ち殺したところで、キノは男達に組み伏せられた。彼らは仲間二人の死を一向に気にすることも無く、キノを犯し始めた。
「ああっ!!やっ!!?…ひううううぅっ!!!…やめっ!!…あああっ!!!!!」
もはや全てを諦めたようなキノの表情が目に入った。
何度も何度も男たちのモノに乱暴に貫かれ、体の中をぐちゃぐちゃにかき混ぜられ、そのたびにキノの体中を望まぬ快感が走りぬける。
薬のために朦朧とする意識、延々と続く陵辱の中で輝きを失った瞳、僕の目の前でキノが壊れていく。
なぜ僕は動けない!!キノを助けたいのに、なぜ僕の体は動かない!!エンジンに火がつけば、タイヤが回転すれば、このポンコツな鉄の塊を奴らにぶつけることが出来れば……。
どうして僕はこんなに無力なのだろう。もし僕が少しでも動くことが出来たなら、こんな事にはならなかったのに……。
「うああああああっ!!!!や…ふあああああああああああああっ!!!!!」
男達が腰を叩きつけるようにしてキノの体を思い切り突き上げれる。体の内に外に白濁を叩きつけられ、キノの意識が一瞬吹っ飛ぶ。
そこでようやく満足したのか、男たちが立ち上がる。地面に投げ出されぐったりと横たわるキノは、虚ろな瞳で男達を見上げた。
ニヤリと笑った男の一人が、キノの額にパースエイダーの銃口を押し付ける。
そんな!!?ダメだっ!!!そんなことでキノが死んでいい筈が無い!!!なんでキノが死ななきゃならないんだ!!!
いつだってこんな事は起こり得ると覚悟していた。だけど眼前で展開される光景に、僕の理性は完全に吹っ飛んだ。
心が軋み、叫びをあげても、僕の体はピクリとも動かない。キノの危機を目の前にして何も出来ない体を呪う。
こんな体じゃダメなんだ!!
僕は望んだ。キノの元に駆けつけるための足を、奴等を振り払い打ちすえる腕を、キノに差し出すための手の平を、僕は激しく欲した。
男の冷徹な笑い、全ての気力を無くしたキノの虚ろな表情、引き金にかかった指先、全てがスローモーションのようにゆっくりと、しかし確実にキノの死に向かって動く。
やめてくれっ!!!やめるんだっ!!やめろっ!!!やめろやめろやめろやめろやめろ……………………………
そして僕の中で何かがはじけた。
「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!」
何が起こったのか理解できなかった。叫んだ瞬間、僕は男達に向かって飛び出していた。
わけがわからないまま体当たりすると、パースエイダーを構えた男は完全に不意を突かれて吹っ飛んだ。
男が取り落としたパースエイダーが、僕の手の平にすっぽりと納まる。僕の手の平……………。
「………エルメス、なの?」
呆然と呟いたキノの言葉、そこでようやく僕は自分に起こった変化について認識することができた。
しっかりとパースエイダーを握った指、しなやかな手足、自在に動く体、僕の望んだもの、人間の男の子の体…………。
「人間になった?僕が………」
もはや敵はいないと油断しきっていた男達にとって、その驚きは僕以上のものだったらしい。
もたもたと武器を取り出そうとする男が目に入る。意識するよりも早く、自然に腕が動いて男のどてっぱらに銃弾が撃ちこまれた。
続けざまにもう一発、もう一人の男の額を撃ちぬく。パースエイダーを苦も無く扱えている。なかなか悪くない体だ。
しかし、唐突に横殴りの衝撃が僕を襲った。僕の体は木の葉のように舞い、地面に叩きつけられた体に言いようの無い激痛が走る。
「しまった……」
無我夢中の状態だった僕は、最初に吹っ飛ばした男のことを忘れていたらしい。凶悪に笑う男が僕の上に馬乗りになり、ごつごつとした指先が僕の首にかかる。
(そんな…せっかく、キノを助けられたと思ったのに………)
ゆっくりと締め付けてくる指先、呼吸の出来ない苦しさで頭がボンヤリしてくる。パースエイダーを握った手の平から力が抜けていく。
(くそ………)
体が意識を手放しかけたその時、パンッ!!と乾いた音が響いた。ボンヤリと霞み始めた視界の中、自分を絞め殺そうとしてきた男の額にポッカリと小さな穴が開いている。
首を締めていた男の手が離れ、僕は解放された。
「げほげほっ!!!!…はぁはぁ……げほっ!!!……何が起こったんだ?」
むせ返りながら必死に肺を酸素で満たそうとする僕の上に、男の体がドサリと倒れこむ。額の穴からたらりと流れ出たちが、僕の顔を汚した。
呼吸を整えた僕は、男の体を押しのけて起き上がる。
「…エル…メス……エルメスぅ………」
背後から途切れ途切れに聞こえる僕の名前を呼ぶ声、振り返ると森の人を両手で抱えたキノが、今にも泣き出しそうな表情でこちらを見ていた。
「キノっ!!」
「……エルメス……良かった……」
最後にそれだけつぶやいて、キノは地面に崩れ落ちた。糸の切れた操り人形のようにぐったりと力の抜けたその体を僕は慌てて抱きとめる。
張り詰めていたものがプッツリと途切れたためだろう、キノは機を失っていた。傷つけられ汚された肌が痛々しい。しかしキノは生きていた。
キノは、僕は、僕たちは、確かに生き残ったのだ。
「うあ~疲れた~っ!!もー休むぅ!!!」
「弱音を吐いてる暇はないよ、エルメス。先は長いんだ」
森の中にまっすぐ伸びる道を、僕らは歩いていく。あの場所からかれこれどのくらいの距離を歩いてきたのだろう。疲れ果て棒のようになった足を、気力だけで前に進める。
仕方がない。僕がモトラドから人間になってしまったのがいけないのだ。森を抜けて次の国にたどり着くには、今はただ歩くしかない。
歩くしかないのだ。でも……………。
「くそ~、いつもならこんな森ひとっ飛びなのにぃ~!!なんで僕はこんな体になっちゃったんだ!!!」
あの時あれほど自分の意志で動ける体を望んだことも棚に上げて僕は吼える。たらたらと文句や恨み言を繰り返す僕を見て、キノが苦笑する。
いつもにくらべれば少し元気がないようにも見えるが、それでもキノは大分落ち着きを取り戻しているようだ。
暴漢たちの最後の一人を撃ち殺してすぐにキノは気を失い、目を覚ますまでにはかなりの時間が必要だった。
その間、僕はキノの体の汚れをぬぐい怪我の手当をして服も着せてあげて、する事がなくなった後はなかなか目覚めないキノの横を右往左往しながらただただ心配していた。
そうしてようやく気がついたキノは、自分の事を不安げに覗き込む僕の顔を見てこう言った。
「だ、誰?」
ショックだった。僕はずっと必死だったのに!!心配してたのに!!何だよその態度!!そんなのってないよ!!!
あの瞬間を思い出して憤慨する僕に、キノが苦笑いしながら弁解する。
「あはは、ゴメンゴメン。あの時はボクもまだ混乱してて、エルメスが人間になったのが良く理解できてなかったんだよ。
大体、目が覚めていきなり目の前に裸の男の人がいたら、誰だって驚くでしょ?」
そうなのだ。キノの世話にすっかり気を取られて、その時まで気がつかなかったのだが、人間になった僕はすっ裸だったのだ。
幸運だったのは、僕の体格がキノより少し大きいだけで、少しキツイけれどキノの服を着られたことだった。
捨てようと思っていたキノの古い靴もなんとか使えそうだった。底の外れかけた正真正銘のボログツだったのは、この際諦めるしかない。
なんだかんだで、とにかく僕は人並みの格好になることが出来た。ただ、さすがにパンツは借りられなかったので、股の辺りがスースーするけど……。
「はーっ!!いったいいつまで続くの?このうざったい森はっ!!!」
森はいまだ深く、道の先のほうに見えるのは鬱蒼と茂る木々だけだ。これからのハードな道程を考えると涙が出てきそうだ。
「まあ良いじゃない。大変だったけど、ボクもエルメスも無事だったんだから」
「そうは言うけど………」
妙に明るいキノの言葉を軽く受け流しそうになったとき、僕はふと気がついた。僕の前を歩くキノの腕が細かく震えていることに……。
僕の脳裏にあの時の記憶がよみがえる。
「生きてさえいれば、この森から抜け出ることも出来る。結果到来だよ、エルメス」
笑わない僕に、キノが振り返って微笑む。言葉が出なかった。長い長い沈黙の間もキノの顔から微笑が消えることはない。
「………………結果、オーライだよね、キノ?」
ようやく答えた僕に満足そうに肯くと、キノはまた前を向いて歩き始める。不安げに震える肩と、肌が白くなるまでぎゅっと握られたこぶし、暗い影を背負った後姿に、僕は立ち尽くす。
結果オーライ?これが、このキノの姿が?
「全然、オーライなんかじゃないよ…………」

ピチャピチャと水音が響く。僕は森の中を流れる清流の岸辺に座り込んで、体の隅々までを丹念に洗うキノの姿を見ている。
ここに辿り着いたのは、散々森の中を歩き続けてそろそろ辺りが暗くなり始めた頃のことだった。おそらく、キノが襲われたのと同じ流れの川なのだろう。
川を見つけるなり水浴びをしたいと言い出したキノに、僕は驚き、反論した。
「キノ、今日は進めるだけ進もうって話じゃなかったの?」
「………ごめん」
キノは困ったように笑いながら水浴びのための準備を始める。
僕が止める間もなく、コートやジャケットやズボンを脱ぎ捨て、キノはあっという間に下着姿になった。
どうする事も出来ずにその様子を眺めていた僕だったけど、今の自分は人間の男になっていたことに気がついて、慌てて後ろを向いた。
いつも何気なく見ているはずの光景に、どうしようもなく戸惑っている自分に気が付いた。
心臓がドキドキと脈打つ様子が手にとるようにわかった。手の平がじっとりと汗ばむ。暴走する肉体が生み出す、味わったことの無い感覚に僕はただ翻弄される。
その時唐突に、キノの手の平が僕の肩に置かれた。
「ど、どうしたの、キノ?」
脈拍が速まる。今にも体から心臓が飛び出てしまいそうだった。そんな僕の様子を見ながら、キノは僕に話しかける。
「エルメス、こっちを向いてく欲しいんだ」
予想外の言葉に、さらに僕は追い詰められる。
「ボクに気をつかっているのはわかってるよ。だけど、どうしてもこっちを向いてほしいんだ。ボクの事を見ていてほしいんだ」
「で、でも………」
「お願いだよ、エルメス………どうしても居てほしいんだ。どうしても必要なことなんだ。」
なんと答えていいかわからず、僕は目を閉じてただうつむき続ける。そして、思いつめたような調子で、キノがとどめの言葉を発した。
「お願いだエルメス……………怖いんだ。怖いんだよ」
その一言で、僕は弾かれたように後ろを振り向いた。今にも泣き出しそうなキノの笑顔がそこにあった。
「あの時の感じが体中に残ってるんだ。だから、どうしても水浴びをしたいんだ。少しでもあの嫌な感じを拭い去りたいんだ」
「キノ…………」
「だけど、一人で居るのは怖いんだ。またあの時みたいになるんじゃないかって……。だけど、エルメスがいるなら大丈夫だから……」
それだけ言ってしまうと、キノは一人で川の方に向かっていった。断ることは出来なかった。出来るはずが無かった。
そうして僕はキノの水浴びする姿を眺め続けている。
既に空には月が輝き、川の水温は相当冷たくなっているはずだった。それでもキノは川から上がろうとせず、水浴びを続ける。
月明かりに照らされたキノ、肌の上を流れ落ちる水滴が月の光を映し、その姿はキラキラと輝く。
いつのまにか、夢の中のような美しい光景に見入ってしまっている自分に気がつく。滴り落ちる水滴が、柔らかなキノの体の曲線が、僕の頭の中を埋め尽くしていく。
本当に素直に、心の底から、綺麗だと思った。美しいと思った。
(ダメだダメだダメだダメだっ!!!さっきキノが言ってたことを忘れたのか!?キノは今、傷ついて打ちのめされてボロボロなんだ。何を考えてるんだ、僕はっ!!!)
それは罪深いことのはずだ。許されないことのはずだ。心の中は不安で一杯のはずのキノに、僕はどうしてこんな気持ちになってるんだ。
だけど何度も振り払おうとしても、胸の奥を締め付けられるようなその感覚が、僕の心を内側から切り崩していく。
味わったことの無いような激しい感情の奔流に僕は戸惑う。
そしてその時、僕は自分の体に生じたある変化に気が付いた。
「なんだ、これ?」
体中で脈動する熱がゆっくりと下半身に集まっていくような感覚、そこに現れた変化が何を意味するのか、僕はそれを知っていた。
頭では理解しているはずなのに、僕はそれをどうしても認めることが出来なかった。自分があの男たちと同じ目で、キノの事を見ていたなんて………。
「なんだよ、これ?なんなんだっ!!?」
あの時の光景が、あの時のキノの悲鳴が、引き裂くような心の痛みが、一気に脳裏に蘇った。苦痛に歪んだキノの表情が何度もフラッシュバックする。
『…うあ…ああっ!……や…も…もうやめ…ひあああっ!!』
『やら…も…やら……も…やなのに…やなのにぃ……っ!!またぁっ!!!やあああああああああっ!!!!!!』
『ああっ!!やっ!!?…ひううううぅっ!!!…やめっ!!…あああっ!!!!!』
そうだ、今の僕は同じなんだ。あの時の、あの男たちと根本的なところではなんら変わることはないんだ。
人間の男になったというのは、そういう事なんだ。僕もあいつ等と同じ事をキノにしたいと、心のどこかで願っているんだ。
あいつ等と同じ、どす黒く禍々しい欲望が僕の中にも渦巻いている。
キノは僕を必要としてくれているのに。キノは今も助けを求めているのに。
「うあああああああああ―――――――っっっっっっ!!!!!!!」
気が付いた時には駆け出していた。なりふり構わず叫び声を上げ、何度も転びながら森の中をひた走る。
丸一日歩き通した足が悲鳴をあげる。恐怖で体中がガクガクと震える。わけのわからないまま走っていた僕は、木の根っこに足をとられて地面に突っ伏した。
胃の中に収まっていた唯一の食料、今日の昼に食べた携帯食料が食道を遡って、地面にぶちまけられる。そのままうずくまった僕は、堪え切れずに嗚咽を漏らす。
「やだ…うぅ…やだよ…嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ………っ!!!いやだあああああああああああああっ!!!!!!」
逃げ出したい。逃げられない。自分自身からは逃げる事はできない。きっとキノのことを傷つけてしまうだろう最大の敵から、逃れることが出来ない。
こんな醜い気持ちをキノが知ったら、僕のことをどうするだろう。
打ち捨ててほしい。壊してほしい。絶対にキノに危害が及ばないように、暗い湖の底にでも沈めてほしい。
「なんでもいい。誰か僕を助けてよ…………」
最後にそれだけ呟いて、僕は自分の体を抱えて丸くなった。このまま消えられればいい。ただそれだけを願った。
だけどその願いが聞き入れられる事はなかった。
「エルメスっ!!エルメス、大丈夫!!?」
木々の間から差し込む月光を背に受けて、そこにキノが立っていた。裸の体にコートだけを羽織った姿、荒い呼吸から、キノがどれほど急いでここに駆けつけたのかがわかった。
僕のことを心から心配しているその顔を見るのが辛くて、僕は再びキノから離れようと立ち上がる。だけど、僕の手を掴んだキノの指先がそれを許さない。
「キノ、やめてよ。僕は……」
「良かった………。急にエルメスが叫んで飛び出して、何があったのかと思ったよ」
「ダメだよ、キノ。僕と一緒にいちゃダメなんだ。僕は、今の僕は………」
なんとかキノの手を振り解こうとする僕だったけど、一心に僕を見つめるキノの瞳を見た瞬間に体中から力が抜けていく。
「エルメス、ごめん。エルメスだって辛かったよね。苦しかったよね」
「そんな、キノ。違うよ。そんな事無いよ………」
キノの腕が僕の肩を抱く。
「お願いだよ、キノ。はなしてよ……。わかったんだよ、今の僕はキノを襲った奴らと根っこのところじゃ何も変わらないんだ!!!」
「そんなことない。エルメスがそんな奴じゃないのは、僕が一番良く知ってるよ………」
「違う……………っ!!!!!」
「違わないよ………」
叫び続ける僕の瞳を、キノの優しい瞳が真っ向から見つめてくる。
「目の前でボクがひどい事をされてるのを見せつけられて、辛かったんだよね。あの時のことでエルメスも苦しんでることに、ボクは全く気付いてなかったんだ」
キノの言葉の一つ一つが僕の中に染み渡っていく。
そうだ。あの時からずっと僕は恐れてきたんだ。キノが傷つけられることを。キノがいなくなってしまうことを。
だけど僕の目の前には、僕なんかよりずっと傷ついているキノがいた。キノを支えるために、ずっと自分の中にある恐怖に目を瞑ってきたんだ。
恐ろしかった事は只一つ。それは、自分があの男たちと同じ存在かもしれない、なんて事じゃない。
ただ、キノを、大切な相棒を失いたくなかっただけなんだ。
本当に怖かったんだ。耐えられないぐらい、狂ってしまいそうなぐらい、死にたいぐらい、あの光景が恐ろしかったんだ。
キノが死んでしまうって、本当に思ったんだ。
「キノ……っ!!キノぉ!!!」
泣きじゃくりながらキノの体に抱きつく。腕の中に広がった温かさを確かめるように力を込めると、僕を抱き締めるキノの腕にもぎゅっと力がこもる。
「ごめん。ごめんよ、エルメス。もっと早くに気が付かなきゃいけなかったんだ。気がつけるはずだったんだ。
ボクはエルメスがどんな奴か、一番良く知ってるんだから。エルメスがボクの事をどんな風に思ってくれてるか、ずっと知ってたんだから……」
ただ一度コクリと肯いて、僕はキノに自分の思いを告げる。
「………うん。好きだよ、キノ。僕はキノのことが大好きだ」
僕の言葉に対するキノの答えは簡単だった。
何かを考える間もなくキノの顔が目の前に近づき、気が付いた時にはキノの唇が僕の唇にそっと触れていた。
そしてキノは、嬉しそうに、本当に嬉しそうに、ボクにこう言った。
「ボクも大好きだよ。エルメスのこと………」
キノの柔らかな微笑。体の中にこみあげてくる激しい熱も、僕はもう恐れていなかった。
キノが唯一身に付けていた服、肩に羽織っていたコートが地面にパサリと落ちた。柔らかなキノの体のラインが露になる。
恐る恐るその肌に触れると、熱いぐらいの体温が手の平へと直に伝わる。滑らかな肌の上にゆっくりと指を這わせると、キノの体がぞわりと震える様子がわかった。
僕の指先がキノの体の上を行き来するごとに、キノの表情は期待と不安の間で揺れ動く。潤んだ瞳で見つめられるだけで、鼓動はどんどん速まっていく。
「綺麗だよ。……うん、キノはとっても綺麗だ」
頭の中で考えていた事が知らず知らずの内に口からこぼれ出る。そんな僕の言葉を聞いているのが恥ずかしいのか、キノは耳まで真っ赤にしながらボクにしがみつく。
「あ……うあ…エルメス……エルメスぅ……」
鎖骨に舌を這わせ、首筋を舐め挙げ、耳たぶを甘噛みしてあげた。静寂に包まれた夜の森の中に聞こえるのは、お互いの荒い息遣いだけ。
キノは近くに立っていた木の幹にもたれかかって、体中のいたる所に触れてくる僕の指先に体を任せる。
「…ああっ!……ひぃ…ひうぅ!!…ああっ…ひああっ!!」
段々と大きく激しくなっていくキノの喘ぎ声が、流れ落ち混ざり合う互いの汗が、僕をさらに興奮させる。
ほんのわずかにふくらんだ可愛らしい胸を、両手で覆うようにして揉んであげた。
キノは胸が小さいことを恥ずかしがっている様子だったけど、僕は全然そんな風には思えなかった。
色んな所に旅をしてきて、他の人間の女の子がどんな胸をしてるのかも知っていたけど、僕にとってはキノの胸が一番に思える。
「キノの胸、素敵だよ。小さくて、可愛くて、とっても綺麗だ……」
「ああっ…や…そんな…恥ずかしいよ……」
手の平にすっぽりと収まったその熱量がそのまま愛しさに変換される。その勢いに任せて、僕は胸への責めを激しくしていく。
小さな胸の上にちょこんとのったピンク色の乳首を摘み、押しつぶし、指先で転がす。その度にキノは切なげに眉を寄せ、熱い吐息を漏らす。
それだけでは我慢できなくなった僕は、キノの胸に吸い付き乳首を噛んだ。その瞬間、雷に撃たれたようにキノが背中を仰け反らせた。
「ああああ―――――――――――っ!!!!!!」
強すぎる快感のせいで、キノは立っていることもままならない。僕の体にしがみついたまま、キノは絶え間なく与えられる快感の中で喘ぎ続ける。
そうしてついに、僕の指がキノの一番大事なところへと触れた。
「ああっ!!!ダメっ!!そこは……ひうううううううううっ!!!!!!!」
既に太ももへと滴り落ちるほどにグショグショに濡れていたそこは、なんなく僕の指を受け入れた。熱い肉の壁が僕の指先をきゅっと締め付ける。
その熱さに我を忘れた僕は、夢中になって指を抜き差しし、クリトリスをつまみ、キノのあそこがどろどろになるまで掻き回す。
その間にも僕は他の場所への愛撫を休めることなく続け、延々と続く快感に翻弄されるキノは、もはや陥落寸前の様子だった。
「ああ…エルメス、きてぇ……ボクもう…はうううっ!!…ガマン…できないよ……」
涙目で訴えるキノに、僕は肯いた。僕は大きくなった自分のモノを取り出し、キノのアソコにあてがった。
一瞬、あの時の男達のことを思い出したが、涙で濡れた顔で僕をまっすぐに見つめて微笑むキノに、僕も覚悟を決める。
心臓が張り裂けそうだ。夜になって気温はだいぶ下がったはずなのに、それが全く感じられない。
僕はもう一度キノにキスをしてあげてから、ゆっくりと挿入を開始した。
「ひあああああっ!!!入ってくるぅ!!エルメスのが、入ってくるよぉおおおおおっ!!!!!」
キノの腕が僕の体にぎゅっとしがみつく。互いの息遣いを、体温を、より近くで感じられるように思えた。
自分の全てがキノに包まれているかのような感覚。とめどなく溢れる愛しさに突き動かされて、僕は必死で腰を動かす。
「ああああっ!!うあああああああっ!!!!!…すごい…エルメス……エルメスぅううううっ!!!!!」
キノが僕の名を呼んでくれている事がたまらなく嬉しかった。キノに求められている幸せで胸の中が一杯になる。
腰を前後に動かし続ける、止めようの無い反復運動の中で、僕らは快感を与え合い、互いの肉体に溺れていく。
もう、キノの事以外には何も考えられなかった。
「好き、好きなのっ!!エルメスのことを、ボクは………ああっ…好き…好き…好きぃいいいいっ!!!」
「うああああっ!!!キノっ!!!好きだよっ!!好きだよぉおおおおおっ!!!!!」
突き上げるごとに二人を包む熱は大きくなっていく。もうどちら体温なのかもわからない。混ざり合い、一つになりながら、僕らは互いの気持ちを叫ぶ。
何度も唇を交し合い、僕はキノの体を思う存分味わった。突き上げて、突き上げて、わけがわからなくなるまで突き上げて、キノの体の隅々まで愛し尽くす。
そして、高まり続けた快感はついに限界を迎える。
「ああっ…も…ボクもう…もうダメなの…だからっ!!エルメス…お願い……エルメスの全部ちょうだい……全部ボクにっ!!…ボクにいっ!!!!!!」
心の底から僕のことを求めるキノの声が、僕への最後の一押しとなった。奥まで届けとばかりに、強く強くキノの体を突き上げる。
瞬間、二人のなかでギリギリまで張り詰めていたものが、堤防が決壊するかのごとく溢れ出した。
「あっ!!!ああっ!!!エルメスっ!!?エルメスぅ!!!!!あああああっ!!!!!あああああああ――――――――――っ!!!!!!!!!!」
「キノっ!!キノおおおおおっ!!!!!」
僕らは同時に絶頂へと登りつめた。
僕のモノからほとばしった熱が、キノの中を満たしていくのを感じる。僕もキノも精根尽き果てて、体を支えることもままならず地面へとへたりこんだ。
しばらく呼吸を整えていると、キノが再び僕の体に抱きついてきた。
「どしたの、キノ?」
キノは何も答えず、僕の体にぎゅっと縋りつく。
そこで僕は、キノが顔を埋めた僕の肩辺りを、なにか熱いものが濡らしていくのに気が付いた。
今の今までキノは、辛そうな顔をしたり涙ぐむ事はあっても、本当に泣き出してしまう事はなかった。
ようやくキノは、泣くことが出来たのだ。
木々の間に見える月を眺めながら、僕は何も言わずにキノの頭を撫で続けた。

長い長い草原の中の道を、キノを背中に乗せた僕が走る。
「さあ、久し振りに熱いシャワーと、柔らかいベッドにありつけるかな」
「僕の修理も忘れないでね」
あの一夜が明けてみると、僕はもとの姿、モトラドに戻っていた。お陰で次の日からは労することなく、僕らは森を抜け出すことが出来た。
「結局、なんだったんだろう……。どうしてあの時、僕は人間になってしまったんだろう?」
どれだけ考えても疑問は尽きない。今となってはあの森の中で起こった全てが、夢の中の出来事のように思える。
実際、キノが憶えていると言わなければ、僕はあの日の出来事を夢の一言で片付けてしまっただろう。
走りながらも、その事についてもやもやと考えていると、ふいに上の方からキノが話しかけてきた。
「本当にありがとう、エルメス………」
「いいよいいよ。それに結局、お互い様だったじゃない。とにかく、これからも一緒に旅を続けていけるのなら……」
「結果到来だね、エルメス?」
「どうしてもボケ続ける気なの?キノ……」
「あははは…」
すっかりお株を奪われてしまった僕の上で、キノは本当に楽しそうに笑った。
晴れ渡った空は、遠く地平線の向こうにまで続いている。道の向こうには既に目的地である小さな国の城壁が見え始めていた。
あての無い旅は辛く厳しい時もある。もしかしたら、今回みたいなことや、もっと危ないことに出会うときがあるかもしれない。でも、そうだとしても………。
「忘れないでよ。僕はキノのお尻の下にいるのが一番幸せなんだからね……」
「ボクはエルメスに乗って旅をするのが、一番の幸せだよ……」
キノがアクセルをふかし、誰もいないまっすぐな道の上を、僕らは気持ちいいぐらいの猛スピードで駆け抜ける。
キノと一緒にいられる幸せを噛み締めながら、僕は願った。
この一番大切な相棒と共に、僕の一番好きな人と共に、僕らの旅がこれからも続いていくことを………。

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