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『夜の国』(エルメス×キノ)

エルメス×キノなSSです。
とある国に滞在していたキノとエルメス。
ところが、ある日眠りについたのを境に明けない夜の世界に迷い込み、
さらにはエルメスの姿までが………。
まあ、結局はエルキノがイチャつく訳ですが……。

追記から本編にどうぞ。





深い眠りの中をたゆたっていた意識が浮上していく。
気怠くも心地良いまどろみの中をしばしさまよってから、キノはゆっくりとまぶたを開いた。
「また……か…」
目を覚ましたキノは暗い部屋を見渡してから、それ以上に暗い窓の外の景色を見る。
そこには静かに輝く星々の下、ひっそりと静まり返った街のシルエットが見て取れた。
街灯さえもが一つ残らず明かりを消して、深く濃い闇が街の中を満たしている。
唯一、空に光る星々の存在が、地上と空の境目を教えてくれていた。
巨大な闇に沈んだ街の光景。
「これでもう…一体、何度目だろう……?」
キノはもう飽きるほどにこの窓の外の闇を見続けてきた。
今度こそはと期待を抱いてベッドに潜り込み、瞳を閉じて眠りに落ちる事、既に数十回。
だが、何度眠っても、どれだけの時間を睡眠に費やしても、窓の外の闇が晴れる事はなかった。
明けない夜。
昇ることのない朝日。
夢か現か幻か、キノはこの国のホテルの一室で終わらない夜に閉じ込められてしまったのだ。
本来なら、この夜が明ければ、滞在三日目のキノはこの国を立ち去る筈だった。
だけど、この国で過ごす最後の夜、真夜中に目を覚ましたキノは異変に気付いた。
真夜中になっても消える事の無いはずのこの国のビル街の灯りが一つ残らず消えていたのだ。
異様な雰囲気を感じ取ったキノは周囲を見回して、さらに驚くべき事態を発見した。
その時、キノは今自分の身に降り掛かっている事態が尋常のものではないと理解させられた。
それは………
「…あ……キノ、起きたの?」
キノが寝ていたベッドの左半分、そこからむっくりと小柄な人影が身体を起こす。
キノと同じようなシャツとズボンを身につけ、ベッドサイドのスタンドからの光を反射して少し癖のある金髪を輝かせる少年の姿。
整った顔立ちではあるが、格好いいというよりは可愛いらしいという表現が似合う子どもっぽい表情を浮かべた男の子。
キノは振り返り、そんな彼に声を掛けた。
「おはよう、エルメス………って言っても、外は相変わらずの夜だけど……」
「そっか……」
答えた声はまぎれもなく、キノの相棒、モトラドのエルメスのものだった。

「眠って目を覚まして眠って目を覚まして、これじゃ本当にキリがないよね……」
「ねぼすけのエルメスでも、これだけ夜が続くとさすがに堪えてるみたいだね」
「む…走る事が本分のモトラドを相手にそーゆー事を言いますか」
キノの軽口にむっとした表情で答えてから、エルメスはふと自分の手の平、ある筈のない人間の身体を見つめて呟く。
「そりゃあ…今はキノを乗せて走る事は出来ないけどさ……」
少し寂しそうな声のエルメスの、その手の平に、キノはそっと自分の手を重ねる。
キノが現在の少年の姿に変わったエルメスを初めて見たとき、その人物が自分の相棒のモトラドである事に一切の疑いを抱かなかった。
自分に起こった変化に戸惑い、呆然とこちらを見上げてきたエルメスに、キノは躊躇うことなく手を差し伸べた。
「不思議だね。あの時、ボクはエルメスがエルメスだってちゃんと分かった」
「いつもなら、間違いなくパースエイダーで撃たれてたよね」
「いや、あの時の距離ならナイフで仕留めるかな」
「こ…怖い事言わないでよ、キノ……」
真っ暗闇の街の片隅、一つだけポツリと灯りのついた部屋の中でキノとエルメス、二人は軽口をたたき合いながら長い長い夜を過ごしていた。
この『夜』とエルメスに起こった変化には恐らく何か関係があるのだろう。
寝ても覚めても昇らない太陽、街に人の気配は無く、時間の経過も曖昧になっていく。
さらに奇妙なことに、相当な時間が経過している筈なのに、キノの身体は僅かな疲れも空腹も感じる事がない。
何もかもが現実感を欠いていた。
不条理、不可思議な出来事にさして疑問を感じない今のキノの感覚は、ちょうど夢の中の感じに似ていた。
実際、エルメスが人間に変わるなんて、とても夢だとしか思えない事である。
だけど、この夢と現実が曖昧になった世界の中で、そのエルメスの存在だけはキノにとって確かな実感・手触りをもって感じられていた。
黒髪の少女と金髪の少年は誰よりも何よりも近くで肩を寄せ合っていた。
「これは夢なのかな、キノ?」
「分からない。でも、それ以外の可能性もボクは思いつかない……」
「もし……もし、このまま目が覚めなかったら…?」
おずおずと尋ねたエルメスの心配げな顔に、キノは穏やかに微笑みかけて
「大丈夫。エルメスがいるし、ボクは怖くない」
「僕もキノの夢が生み出した幻だって、そうは考えないの?」
さらに問いかけるエルメスに、キノはゆっくりと首を横に振る。
「思わない」
「どうして?」
「ボクにも分からないけど……」
キノはエルメスの、確かな温もりを持った少年の肩に寄りかかって
「エルメスはエルメスだよ。ずっと一緒にいたんだもの。ボクには分かる……」
「キノ………」
穏やかに、静かに、ただ流れていく深い海の底で過ごすような時間。
二人肩を寄せ合い、ぽつりぽつりと言葉を交わして、時に笑いあう。
時折まどろみに身を任せ、またまぶたを開いて、同じく目を覚ました相棒とまた穏やかな語らいの時間を過ごす。
(どうしてこんな事になってるのに…ボクは少しも慌ててないんだろう。不安を感じてないんだろう……)
そんな時間の合間にキノの脳裏にふと疑問が浮かぶ。
(これがもし夢だというなら…ボクの心を映しだしたものだというなら……ボクは……)
キノは隣に座るエルメスの顔を、その青い瞳をまじまじと見つめる。
「ど、どうしたの、キノ?なんか照れるんですけど……?」
「あ……ご、ごめん……」
ドキドキと高鳴る胸。
これと同じ鼓動をエルメスも感じているのだろうか?
キノが『キノ』の名前を受け継いで、生まれ故郷の国を飛び出してからずっと一緒に過ごしてきた相棒。
いつも当たり前のようにその存在を傍に感じて、交し合う言葉に何にも代えられない親愛を感じてきた。
その中で、キノの胸にゆっくりと育っていった気持ち………。
(ぜんぶ、ボクが望んだから……ボクがエルメスとこんな風に触れ合いたいって…そう思ってたから……?)
「キ、キノ…さっきから…変だよ?」
「エル…メス……」
(それじゃあ、エルメスは…?エルメスはボクの事をどう思って……?)
自分でも知らず知らずのうちに、キノの顔がエルメスの顔にゆっくりと近づいてゆく。
ぼんやりと頭が霞むような熱っぽい感覚が、キノの意識を覆い尽くす。
対するエルメスもキノに何か言おうとして、だけど結局何も出来ず、もはや間近に迫ったキノの瞳を見ている事しかできない。
「キノ…本当にどうしちゃったの?」
「わからない…ボクにも…何故なのか…どうしていいのか……わからないよ…」
どこか切なげに、苦しげにつぶやいたキノの顔には赤い色が差して、その表情はエルメスの知るいつものキノのものでは無くなっていた。
さらに近くに、華奢な身体をエルメスの胸元に預けて寄り掛かってきたキノの身体を、エルメスは思わず抱きとめていた。
旅の中で鍛えられてはいても、それでも細く小さなキノの肩。
その手触りがエルメスの鼓動を着実に早めていく。
彼本来の金属で出来た身体では決して感じられなかっただろう、キノの体の感触・熱。
否応なしに高まる興奮が、今までキノの行動に戸惑うばかりだったエルメスの背中を押す。
キノに応えるように、自分の方から顔を近づけていくエルメス。
互いの吐息が聞こえるその距離で、二人はじっと見つめ合う。
(エルメスのこの姿を見たときから、何となく気付いてた……この明けない夜の意味……)
「キノ……」
キノの体を抱きしめる、エルメスの腕に力が込められる。
(ボクは人間で、エルメスはモトラド……どんなに心が近付いても、人間同士のように愛を交わす事は出来ない。
だから、この誰にも邪魔をされない時間の中で、エルメスに触れて、触れられて、抱き締められたかった………)
「キノ…僕は……」
「エルメス……」
磁石の極が引かれ合うように、二人の唇と唇が重なる。
「好きだよ…キノ……」
「うん。ボクも…ボクも大好きだ…エルメス……」
(たとえ、これが夢でも幻でも………)
唇を重ねあわせるだけの一度目のキス。
そこから間を置かずに、熱に浮かされた二人は再びキスをする。
今度はおずおずと互いの舌を突き出し、絡め合わせて、お互いの口の中を味わう。
唇を離すと糸を引く唾液と、熱い吐息が、否応も無しにキノとエルメスの興奮を高めていく。
「キノの体…触りたい。いつもは触れてもらう事しかできなかったし……」
「うん。いいよ。エルメスの好きにして……」
その答えを聞いて、エルメスはキノのシャツのボタンに手をかける。
エルメスのなすがまま、ボタンを一つ外される毎に自分の肌が露になっていくその感覚に、キノは恥ずかしさと共に得も言われぬ幸福感を感じる。
信頼し、愛する相手に自らのすべてを委ねる幸せ……。
全てのボタンを外されたシャツの下、下着をめくり上げられてキノの幼く控えめな胸が姿を現す。
そこにエルメスの指先が、触れた。
「ひ…ぁ……!!」
極限まで高まった興奮がキノの神経を敏感にさせているのだろうか?
触れられただけで走り抜けた電流のような感覚に、キノは思わず小さな悲鳴を漏らした。
「キ、キノ!?だいじょうぶ?」
「うん…平気…だから……エルメス…もっと…触って……」
痺れるような感覚と、体の奥で燃え上がる熱。
エルメスに触れられている、その実感がキノの中にさらなる刺激を求める熱情を湧き上がらせた。
「…キノ…きれいな肌…柔らかくて…あったかくて……」
「んっ…うぁ…ああっ!…エル…メスぅ……ひぅ!!」
人間の体に自分の方から触れる。
そんな初めての経験に後押しされたせいだろうか。
エルメスの指先はキノの柔肌の上を滑り、そこかしこに触れて、思う様に愛撫を繰り返した。
「おっぱいの先…とがってきた……」
「あんっ…ああ…駄目…エルメス…そこ…感じすぎるからぁ……ああああっ!!!」
くにくにと、エルメスの指先に挟まれて、弄られる愛らしいピンクの突起。
感覚神経の集中したソコを刺激される度に、ビクン!ビクン!とキノの華奢な体が跳ねる。
「う…ああ…エルメスぅ……」
「はぁはぁ…キノ…キノ…可愛いよ……ん…ちゅっ…」
「ひぁ…ちくび…ひゃめっ!!…あああああああっ!!!!」
どんどんと乱れていくキノの姿を見ている内に、エルメスの興奮も高まっていった。
ぼおっと熱に浮かされた思考の促すまま、彼は先ほどから自分の手の平が弄んでいる、キノの胸のささやかな膨らみに視線を向けた。
そして、躊躇うそぶりも見せず、その先端部分にキスを落とした。
「あ…ひんっ…や…あああっ…エルメス…はずかし……ひ…あああああっ!!!」
「ごめん、キノ…止まれない……キノが可愛くて…僕はもう……」
際限なく加速していく二人の行為。
キノを愛撫し、快感に漏れ出るキノの嬌声に完全に心奪われたエルメスは、次のステップへと進む。
ゆっくりと伸ばされたエルメスの手の平が向かう先は、キノの下腹部。
ズボンの留め金を外し、ファスナーをずらし、現れたショーツの上からまず一撫で。
「ふあっ!!?…ああ…エルメスっ…そこぉおおおおおっ!!!」
「キノのアソコ…すごく熱くなって…びしょびしょになってる……」
ショーツをずぶ濡れにし、ズボンにしみを作ったキノの愛蜜がエルメスの指に絡みつく。
エルメスはキノのショーツをずらし、まだ誰も触れた事のない秘裂へと指を潜り込ませる。
「ああ…エルメス……エルメスの指がボクのアソコに触れてるんだね…ああ…エルメスぅ……」
「キノ…可愛いよ…キノっ!!!」
エルメスは右手でキノのアソコを愛撫しながら、左の腕で彼女の背中を抱き締め、繰り返し何度となくキノの唇にキスをしていた。
求め合うように唇を突き出し、舌を絡ませ合いながら、その行為の熱の中に身を委ねていく二人。
キノの秘裂をかきまぜるくちゅくちゅという水音は、時間を経るほどに大きく激しくなっていく。
「エルメスぅ…気持ちいっ…気持ちいいよぉおおっ!!!!」
「はぁ…あ…キノっ…キノぉおおっっっ!!!」
腕の中で快感に震え、幾度となく痙攣し、身をくねらせる少女の息遣い。
それを感じ取るほどにエルメスの愛撫はより激しく、丹念なものに変わっていく。
二人の神経は興奮の度合いを高め、キノが感じる快楽はより大きなものになっていく。
もっと強く、もっと熱く、いやらしいほどの水音と互いの呼吸の狭間で、二人は互いを求め合う。
やがて高まり続けた熱情は、キノとエルメスに『今以上のもの』を求めさせる。
「はぁ…はぁ…ああ…エルメス…ボクは…もう……」
「キノ…キノ……欲しいよ、僕もキノの事が……」
少年に姿を変えたエルメスの下腹部、ズボンの布地を押し上げて苦しげに存在を主張する熱の塊。
同じ熱を帯びたキノの秘所にそれを受け入れて、受け入れられて、もっと一つになりたい。
とどまる所を知らない熱の昂りはキノとエルメスに同じ結論を選び取らせた。
「きて…エルメス…ボクとひとつになって……」
「うん。…わかったよ、キノ…僕も同じ気持ちだから……」
エルメスは答えると、ズボンのベルトを外し、燃え上がりそうな熱のこもった自らの分身をさらけ出す。
キノはそれを一瞬垣間見て、期待と不安に胸を激しく高鳴らせる。
ドキドキと脈打つ心音に耳がおかしくなってしまいそうな、そんな数秒間の後、エルメスはソレをキノの秘所の入り口に押し当てた。
「いくよ…」
「うん……」
小さくうなずき合って、二人の営みが始まる。
エルメスが腰を動かして、ゆっくりと彼の分身が挿入されていく。
キノの小さなアソコは入り口の部分で硬く閉ざされなかなか奥へと進む事が出来ない。
それでも少しずつ少しずつ奥へと進み続けたエルメスのモノは、やがて行く手を阻む何かにぶつかる。
エルメスはそこでぐっと腰に力を入れ……
「痛ぅ…あ…エルメスのが奥に……」
二人が繋がり合った部分から流れ出る鮮やかな血の赤色。
身を裂く痛みに体を震わせながらも、キノはエルメスの背中にぎゅっと抱きつく。
「…ああ…痛いのにまざって感じるよ…エルメスがボクの中でトクントクンって脈打ってるのを……」
エルメスはキノの抱擁に応えて、自分もキノの背中をぎゅっと抱きしめた。
「…キノ…大丈夫?」
「わかんな…い……痛くて…熱くて…ジンジンして……でも、だけど……」
瞳を涙で潤ませたキノが切れ切れの息の合間にエルメスに向かって必死に訴えかける。
「…エルメスと繋がっていられるのが凄く…凄く嬉しい……だから、もっと感じさせて…エルメスの事、たくさん……」
「…キノ……わかったよ……」
キノの真っ直ぐな感情を受け止めて、頬を赤くしながら、エルメスはしっかりと肯いた。
「僕もキノの事、もっと感じたい……」
つぶやいてから、エルメスは自分の腰をゆっくり前後にグラインドさせ始める。
その度にキノの体の奥に、痛みと、熱と、痺れが、渾然一体となって駆け抜けていく。
絶え間ない刺激の波に、キノは何度も声を上げ、必死でしがみついたエルメスの背中に爪痕を残した。
「キノっ!…キノっっ!!!」
「ああっ…エルメスっ…エルメスぅうううううっっっ!!!!」
互いの名前を呼び合いながら、キノとエルメスは一心不乱にまぐわい続けた。
気がつけば、破瓜の痛みを感じているキノだけでなく、エルメスの目元にもうっすらと涙が浮かんでいた。
叫んで、抱き合って、交わり合って、それでも押え切れない感情の波が、涙に変わってキノとエルメスの頬を濡らしていた。
大好きだ。
愛している。
そんな言葉を幾千、幾万重ねても、それでも表わしきれない強い想いが二人を突き動かしていた。
「あっく…ああっ…どうしよう…エルメスの…すごく熱くて…ボクは…あああああああっっっ!!!」
そして、二人の行為が熱を帯びていくにつれて、キノの反応にも変化が現れ始めた。
痛みに混ざって感じる、甘い痺れのようなものが幾度となくキノの全身を駆け抜ける。
苦しげだった吐息に艶のようなものが混じり始めて、その声音が喜悦に震え始める。
「キノっ!…キノの中、さっきよりぎゅっと絞めつけてくるよ……」
「ひぅ…ああっ…エルメスっ…すご…すごいよぉおおおっっっ!!!」
気がつけば、エルメスの腰の動きに合わせて、キノも自分の腰を使い始めていた。
二人の呼吸が重なり、溶け合い、キノが今まで知ることの無かった強烈な快感が小さな体を何度も貫いた。
熱が、痛みが、甘い痺れが、キノとエルメスの頭の中から無駄な思考をそぎ落とし、
ただ一つ目の前の愛しい人への感情だけが一層強く二人の意識を埋め尽くしていく。
「あっ…くぅん…うあ…エルメス…っ!!…好きだよっ!!エルメスぅううううっ!!!」
「キノっ!…愛してるっ!!愛してるからっっっ!!!!」
したたる汗と、必死に呼び合う叫び声、上昇を続ける体温の中で二人は溶け合い一つになっていく。
エルメスが強く腰を突き上げる度に、彼のモノの先端に膣奥を叩かれて、キノの口から甘い悲鳴が漏れる。
くちゅくちゅ、くちゅくちゅ、と繰り返される水音は、粘膜を濡らす愛蜜が量を増すほどに次第に大きくなっていく。
快楽と熱情のマグマはキノとエルメスの神経を焼き尽くし、それでも足りずに二人は互いを求め続ける。
「うあ…キノぉ…僕…もう……っ!!!」
「エルメス…ボクも…だから最後はいっしょに…いっしょにぃいいいっっっ!!!!」
そして、それは二人の心と体が限界に達しようとするその時も変わらなかった。
暴走する快楽と愛情に体と心をバラバラにされそうになっても、二人は行為を加速させ続ける事しか出来ない。
もっと強く、もっと激しく、際限なくお互いを求め合う熱情は、やがて巨大な津波となって二人を押し流す。
迸る快感が絶頂の高みで弾けて、二人の心と体を粉々にするような衝撃が襲いかかる。
「あああああっ!!!!キノっ!!キノっ!!キノぉおおおおおおおおおっっっ!!!!!」
「ふあああああっ!!!ボク…も…イク…イっちゃうよぉ!!!エルメスっ!!!エルメスぅうううううううっっっ!!!!!」
一際強く抱きしめ合いながら、怒涛の如き快楽の中で昇り詰める二人。
体の奥で迸り出たエルメスの白濁が波打ち、膣奥を愛しい熱で満たしていくのを感じながら、キノはその意識を手放した。


…………そして、キノはベッドの上、窓から差し込む朝日の中で目を覚ました。
傍らを見ると、相棒のエルメスがモトラドのままの姿で静かに佇んでいる。
「………夢…だったのかな?」
一人つぶやいた言葉に応える者はいない。
窓の外では眩い陽射しの中、道を急ぐ人や車の群れが見えた。
あの、暗闇に覆われた街の面影はそこにはない。
「そうか…やっぱり、そうだよね。……あれが夢以外の何かである筈がない……」
そう呟いて、エルメスの方に視線を向けたキノの表情は、少し寂しげなものだった。

その後、ホテルをチェックアウトしてから、出国の手続きを済ませるまで、終始、キノは寡黙だった。
一体、あんな夢を見ておいて、どんな顔をしてエルメスと話せと言うのだろうか?
「ねえ、キノ…今日はやけに無口だね?」
「そう…かな……?」
さり気無く尋ねてきたエルメスの一言にも、キノの心臓はドキンと跳ね上がる。
夢の中でエルメスが幾度も囁いてくれた、『愛してる』『大好きだ』、そんな言葉たちが頭にこびりついて離れないのだ。
(やっぱりあの夢は、ただのボクの願望を映し出したもの……だけど、こんな気持ちをエルメスに知られたら……)
キノは胸の奥に湧き上がる苦い感情をぐっと堪えて無表情を装う。
……ただ、奇妙だったのは、どんなに鮮烈でインパクトの強い夢でも普通、目を覚ました時点からその記憶は曖昧になっていく筈なのだが、
キノが昨夜見た夢に限っては、そんな様子が少しも見られなかった。
むしろ、時が経つほどに細部のディテールまでが思い出されて、キノはたまらず赤面してしまいそうになる。
(何なんだろう…この感じ……?)
キノがその感覚に疑問について考え込んでいたその時、不意にエルメスがキノに声をかけた。
「今日は…いい天気だね。キノ」
「う、うん……」
「こういう日に走るのって、気持ちいいよね……」
「そう…だね……」
何気ない調子のエルメスの言葉に、なるべく平静を装って答えるキノ。
だが、それは次のエルメスの言葉で、脆くも打ち破られる。
「暗い街の中、僕が人間に変わって、キノとずっと二人きりでイチャイチャする。……そういうのも悪くないけどさ……
僕はこうやって、キノを乗せて走るのが、やっぱり一番大好きだから………」
「エルメス……どうして…!?」
呆然とするキノに、エルメスは照れくさそうに言葉を続ける。
「ああ、やっぱりあの夢…キノも見てたんだ。今朝から様子が変だったから、もしかしたらって思ってたけど……
夢の中だけど、キノに本当に好きって言ってもらえたんだ。…好きって言ってあげられたんだ………」
「エルメス……」
呆然としていたキノの心はやがてゆっくりと事態を理解し……
「エルメスっ!!エルメスぅ!!!」
「キノ…くすぐったいよぉ!!」
湧き上がる喜びに任せて、キノはエルメスのヘッドライトのあたりに抱きついた。
「僕は…キノと一緒に走るのが一番幸せ…だから……」
「うん。だから、これからもずっと、よろしく頼むよ、エルメス……」
そして心の底からの親愛を込めた言葉を交わし合い、キノはエルメスに乗って走りだした。
心を繋ぎ合ったモトラドとその乗り手の姿は、暖かな太陽の輝く青空の下、どこまでも続く長い道をまっすぐに走って、やがて地平線の向こうに消えていった。






以上でおしまいです。
互いに身近な存在であるだけに、エルメス×キノって結構有力なカップリングだと思うのですが、
エルメスがモトラドであるためになかなか書きにくいのが困ったところ。
人間とモトラド、互いに異なる存在である事、その切なさがエルメスとキノの関係の魅力だとも思うのですが。
エロスなシーンを入れようとすると、エルメスを擬人化するか、もしくは何らかの工夫が必要になってしまうので難しいです。
でも、思い切りキノとエルメスのラブっぷりを書けて満足しました。

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