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アイカシア大佐の妄想大爆発(アリソン・ネタ系)

アリソンのパパ、アイカシア・クロス大佐がアリソンを気に掛けるあまり暴走しちゃうお話です。
冷徹に任務を遂行してきたスパイである彼もアリソンの前ではただのお父さんに戻ってしまうっていうのが素敵だと思います。
好きです、アイカシア大佐。






コツコツコツコツ、一定のリズムを保ったその音は、ホテルの暗い部屋の中に響いていた。
音を発していたのは、部屋に据え付けられたテーブルに座った男の指だった。男の指がテーブルを一定のリズムで叩き、神経質なリズムを刻む。
男は苛立っていた。気がかりな事があるのに、それを確かめに行くことが出来ないのだ。
動くに動けない状況が、普段苛立ちを態度に表すことのないこの男の心を、どうしようもないほど苛立たせていた。
男の名はアイカシア・クロス、ベゼル・イルトア連合王国の情報部に所属する大佐である。
百戦錬磨のアイカシア大佐をして、どうしようもない程に苛立たせているもの、それは彼の娘のことだった。
「今頃、あの二人はどうしているんでしょうか?」
何度口にしたか解らない疑問が、アイカシア大佐の口からこぼれ出る。
彼の娘、アリソン・ウィッテングトンは現在彼が手配したホテルで、幼馴染みの少年ヴィルヘルム・シュルツ、ヴィルと一緒に過ごしているはずだ。
ヴィルに対して、アイカシア大佐は感謝もしていたし、それなりに信頼もしていた。
大陸横断鉄道での任務の最中、彼は生き別れの愛娘の姿をその乗客の中に見つけることとなった。
アイカシア大佐は機転を働かせ、本来乗客全員を犠牲にする筈の計画を変更し、娘の命を奪ってしまうことをなんとか阻止した。
そのために生まれた計画の綻び、ヴィルはそれを突いて事の真実を看破してしまった。
かくしてアイカシア大佐はアリソンの父親、オスカー・ウィッティングトンとして再び娘の前に立つこととなった。
そのことは良い。ヴィルもアリソンとアイカシア大佐の事を思って行動してくれたのだ。
だが、その後さらに衝撃的な事件が起こった。
アリソンがヴィルと同棲することを宣言し、ヴィルがそれを受け入れたのである。
ヴィルとアリソンの同行者である英雄と次期王女に連れ出されたアイカシア大佐は、二人がその後どうなったのか知る由もないが、
再び二人と顔を合わせた時に、アリソンが浮かべていた幸せ一杯の笑顔を見れば、大体の予想はついた。
ヴィルヘルム・シュルツ、彼はアイカシア大佐のもとに娘を連れ戻してきて、その直後にかっさらって行ってしまった。
その上、呆然としていたアイカシア大佐は「昨夜は別々の部屋だったから、今夜は一緒じゃなきゃイヤだ」とごねるアリソンの言いなりになって、
ホテルの部屋を二人一緒にしてしまった。
「むぐぐぐぐ」
唸り声を上げたアイカシア大佐に、同じ部屋にいた彼の部下も顔を上げる。
「さっきからずっとそんな調子ですけど、また例の彼、ヴィルヘルム・シュルツのことを考えているんですか?」
「……そうです」
全く元気を無くした声でアイカシア大佐が答える。その姿を横目に見ながら、部下は心配そうにこう続けた。
「……恋わずらいですね」
恋の先達としての余裕を浮かべたその優しげな瞳を、アイカシア大佐は裏拳で顔面ごと破壊する。
そうして、また大きな溜め息を一つ。
ヴィルヘルム・シュルツは優しく誠実な人間だ。よもや間違いは起こっていないと思うが……。
尽きることのない不安に、アイカシア大佐の苛立ちは募るばかりだった。

翌日、アイカシア大佐は二人が宿泊したホテルの裏口から、こっそりと内部に侵入しようとしていた。
アリソンとヴィルを始めとした一行は、すでにホテルをあとにしている筈だった。
二人が泊まった部屋を探る。なにか間違いがあったなら、それなりの痕跡が残されているはずだ。それを確かめに行く。
無論、何もないのはわかっている。当たり前のことだ。それほどあの二人は愚かではない。
だから、これは何事もなかったことを見に行くだけ、全くもって徒労なのだ。
そう考えながらもアイカシア大佐の額には、どんな困難な任務でも流したことが無いほどの量の、大量の冷や汗が玉になって滲んでいた。
「部屋番号は……609か」
一人呟いて、アイカシア大佐はホテルの中に入っていった。

「そんな、嘘だ……」
まだ片付けられていない部屋の中、乱れたシーツの上にアイカシア大佐はそれを見つけた。
赤く広がったシミ、おそらくはアリソンが流した血の痕跡、それが何を意味するかは考えなくても解ることだった。
今までに無い衝撃に、屈強な諜報部員はその場に膝から崩れ落ちる。
目の前が真っ暗になったようだ。
「バカな…こんな事はあり得ない」
自分で言ってみても白々しい。これだけの証拠を前にして、現実を受け入れられないのか。答えは一つしかない。解りきっている。
知らず知らずの内に、自分の口から笑いが漏れていることにアイカシア大佐は気付く。なんとも情けない負け犬の笑いだ。
「はは…はははは…ははははははは………はぁ…」
昨晩、ここで何が行われたか、アイカシア大佐には手に取るように解った。

『愛してる、ヴィル……』
『僕もだよ、アリソン……』
そう言って深く口付けを交わした二人は、互いの顔を見て少し照れた笑いを浮かべてから、行為を始める。
『…あっ…やぁ…はうっ!…ひああああっ!!?』
あくまで優しいヴィルの指先は、アリソンの敏感な部分を絶え間なく愛撫し、
やがて快感に上気した頬を見せながら、アリソンは照れくさそうにこうつぶやく。
『……ヴィル…きて…』

「うあああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!」
こっそりと忍び込んだことも忘れて、アイカシア大佐は大声で叫ぶ。
浮かんでくるビジョンを振り払おうと頭をかきむしるが、妄想はさらに過激さを増してアイカシア大佐を責め立てる。

『よく似合っているよ、アリソン』
『うあ…ヴィル、こんなの…こんなのやだよ』
いつも通りの微笑を浮かべるヴィルとは対照的に、アリソンの表情は不安で曇っていた。
その首には、犬にしてやるような首輪、手首は荒縄で縛られ自由が利かない。
『ねえ…ヴィル、お願いだから外してよ、これ……』
ヴィルは、そう言って哀願してくるアリソンの頬を乱暴に掴み、自分の方へと引き寄せる。
『きれいだよ、アリソン……』
いつもと変わらぬ笑顔が、とてつもなく恐ろしく感じられる。思わず逃げ出そうとしたアリソンだが、ヴィルに後ろから押し倒される。
腕の自由を奪われたアリソンは受身もとれずに突っ伏す。ヴィルはアリソンの体を組み伏せ、その体に愛撫を始める。
『あっ…やぁ…こんな…やめて……ヴィルぅ…』
ヴィルはアリソンの声を完全に無視して、アリソンの体を思うように楽しむ。
切なげな声がアリソンの口から漏れて、それがヴィルをさらに欲情させる。そして、ついに……。
『あっ…やぅ…も…ヴィル…許して…』
『何を言ってるの、アリソン……これからが本番じゃないか…』
『えっ!?』
ヴィルの言葉に、アリソンの顔が引きつる。その表情に満足げな笑顔を浮かべたヴィルは、自分のモノをアリソンの秘所にあてがい……。
『ひぅ!?ああっ!!いやあああああああっ!!!!!』
強引に侵入を開始した。
墓の痛みにアリソンの体が震える。
『痛い…いたいよぉ…ヴィル…ふああっ!!…も…こんなこと…やめてえええっ!!!!!』

ゴン!ゴン!ゴン!ゴン!と鈍い音が部屋に響き渡る。
音の主はもちろんアイカシア大佐だ。自分の妄想を痛みで打ち消そうと、壁に頭を打ち付けているのだ。
しかし、妄想はとどまる事を知らず、なまじ裏の世界に通じているアイカシア大佐の知識は、妄想の内容をエスカレートさせていった。
SM、容赦なく振るわれるヴィルのムチがアリソンの体に痛々しい跡をきざむ。
獣姦、どこから連れてきたのか、獰猛そうな猟犬にアリソンの体は蹂躙される。
「もう沢山だ。もう考えたくない」
言いながらアイカシア大佐は妄想を止める事ができない。
そして彼の妄想は、ついに最終局面を迎えた。

うじゅるうじゅると蠢く無数の触手が、アリソンの体を拘束し、穴という穴を犯し尽くしていた。
今、アリソンは魔王復活のための生贄として、魔物の陵辱を受けているのだ。
その様子を満足げに眺めている魔導師、その顔はもちろんヴィルのものだ。
『あっ…ふああああっ!!も…だめぇ!…これ以上は…ああんっ!!私おかしく……おかしくぅ…おかしくなっちゃうぅ!!!!!』
息も絶え絶えのアリソン、しかし触手の責めが途切れる事はない。
這い回る触手はアリソンの全身にいやらしい粘液を塗りたくり、人外の責めでアリソンに快楽を与える。
『ひあああっ!!?…ダメぇ…そんなとこ…ひあっ!?…いじらないでぇ……』
全身の性感帯を舐られ、乳首をメチャクチャにいじられ、前と後ろの穴を何度も貫かれる。
めくるめく快感の奔流に、いつしかアリソンの神経は焼き切れ、理性は熱せられたバターのように溶けていく。
『あっ…やっ!!?…だめっ…もう私ぃ…気持ちよすぎてぇ!!!!!』
アリソンの喘ぎ声は次第に大きくなり、触手の責めも激しさを増していく。そして高まった快感は、アリソンを高みへと押しやる。
『ひあっ!?イクっ!!?イクぅ!!!イっちゃううううううううっ!!!!!』
その瞬間、魔方陣が輝き、辺りを光が包む。儀式が完成したのだ。
呆然と見つめるアリソンの前で、魔王がその姿を現す。
『ヴィル?』
その顔も、まさしくヴィルのものだった。魔王のヴィルはいつも通りの優しい笑顔を浮かべ、アリソンに手を差し出した。
アリソンは照れくさそうな表情を浮かべ、躊躇いがちにその手を握った。
その途端、アリソンの体も光に包まれ、手を繋いだままの二人は宙に浮かび、空へと登っていく。
幸せそうな笑顔を交わす二人を、アイカシア大佐は呆然と見送ることしか出来なかった。

暗い部屋の中、アイカシア大佐は今まで頭を打ち付けていた壁に突っ伏して体を預けていた。
もう何をする気にもなれなかった。二人の乗った飛行機を見送るには、そろそろ出発しなければならないが、立ち上がる気力が無い。
「もうどうでも良いんだ、どうでも……」
アイカシア大佐が一人つぶやく。世界の全てから取り残された気分だ。
「どうでも良くないよ。アンタ一体誰なんだ?」
突然に後ろから声をかけられ、アイカシア大佐はゆっくりと振り返る。そこには見たことの無い若い男女が一組……。
「君達は?」
「それはこっちの台詞だよ、おっさん」
アイカシア大佐は訳が解らない。この部屋を使っていたアリソンとヴィルは、もうチェックアウトしたはずなのに……。
「とにかく、俺たちの部屋からとっとと出て行ってくれるかな」
男の方がめんどくさそうに言った。その言葉でアイカシア大佐は全てを理解する。ポケットに突っ込んでおいた部屋番号のメモを取り出す。
まさか………。
「おい、おっさん聞いてるのか?」
全くこっちのことを気にかけないアイカシア大佐の様子に、男がもう一度口を開いたその時だった。
「イイイイイイイヤッホオオオオオオオオオオオオオオウゥ!!!!!!!」
奇声をあげて、アイカシア大佐は部屋から飛び出していった。あとには訳の解らないままに残された男女が二人。
「なんなんだ、あのおっさん?」

全くの勘違い、そう勘違いだったのだ。
「609号室じゃなくて、906号室だったんだ!!」
部屋を取り違えていた。なんとも間抜けなミス、まったく特殊任務に携わっている人間とは思えない。
だが、今のアイカシア大佐には全く気にならない。事態は全く好転していないのに、嬉しくて嬉しくてたまらない。
通りでタクシーを捕まえ、アイカシア大佐は目的地へと急いだ。今なら、まだ間に合うはずだ。
アイカシア大佐の高すぎるほどのテンションに乗せられた運転手は、レーサーも真っ青のテクニックで車を走らせ、
アイカシア大佐は出発時刻にたっぷり余裕をもって、アリソン達のもとへとたどり着いた。
運転手にたっぷりと料金を支払い、アイカシア大佐はタクシーから飛び出す。走りながら辺りを探すと、遠くにアリソンとヴィルの並んだ姿が見えた。
二人の笑顔はここからでも手に取るようにわかった。アイカシア大佐は足を止め、二人の様子を呆然と眺める。
心の底からの幸せな笑顔、そう言えば妄想の最後に浮かんだのも、二人のこんな笑顔だった。
「そうか、今日この日までアリソンにあんな幸せを、笑顔を与えてきたのは彼だったな……」
解っていたことだった。所詮自分は任務のためにアリソンを捨て、一人で生きていくことを選んだ男なのだ。
先ほどまでの興奮が急激に冷めていく。自分と二人の間にはどうしようもなく深い溝が横たわっているんだとわかる。
アイカシア大佐は深く溜め息をついて、二人に背を向ける。最初から自分は、アリソンにとっては過去の人だったのだ。必要ないのだ。
ゆっくりと立ち去ろうとしたアイカシア大佐の背中に、突如、ドン!と衝撃が襲った。
「うわあああっ!!?」
戸惑うアイカシア大佐の胴を、誰かが後ろから抱き締める。細くしなやかなその腕、きれいな指先は……
「もう!どうしてたのよ?間に合わないかと思って心配したのよ、パパ!」
「あ…アリソン?」
愛娘は心底から嬉しそうな笑顔をアイカシア大佐に向ける。
「今日は、随分と上機嫌なんですね」
「あっ、うん、まあね」
愛しのヴィルへの告白を成功させた翌日だ。上機嫌なのも当然か……。いや、もしかしたら、やっぱり二人は昨夜の内に……。
再び疑念に囚われたアイカシア大佐、しかしアリソンはそうとは気付かず言葉を続ける。
「いや、その、一晩明けたらやっぱり嬉しくなってきて」
そうか、ヴィル君と一緒になれて、そんなに嬉しかったのか
「昨日の内は、やっぱり実感がわかなかったし……」
まあ、そういうものなんだろう。
「あはは……、またパパに会えるなんて思ってなかったから……」
なるほど、そうでしょうとも………………って、あれ!?
信じられないといった表情で、アイカシア大佐はアリソンの顔を覗き込む。
言葉をなくしたアイカシア大佐の耳元で、恥ずかしそうに笑ってアリソンはこう言った。
「また会えて嬉しいわ、パパ……」
正面切っての好意に、アイカシア大佐は耳まで赤くする。自分の体を抱き締めるアリソンの腕にぎゅっと力がこもるのを感じる。
アイカシア大佐はそれに応えるように、アリソンの肩をそっと抱き締めた。
「私もだよ、アリソン……」
ふと見ると、少し離れたところでヴィルも笑っている。こちらも本当に嬉しそうな笑顔で、アリソンの幸せを心底から喜んでいるのがわかった。
アイカシア大佐はヴィルに向かって、照れくさそうに笑顔を送る。
まったく、自分は何を考えていたのだか………。
本当に久し振りに、自分の腕の中に感じる愛娘の体の暖かさを、アイカシア大佐はじっくりと噛み締めたのだった。

滑走路をすべる飛行機を、アイカシア大佐は部下と並んで見送る。今度会えるのはいつになるだろう?
未だに二つに分かれたこの世界の中では、それはあまりに遠い未来のように思える。しかし、その時はきっとやってくるのだ。
ふっと微笑んだアイカシア大佐、その少し寂しげな背中に、部下が優しく声を掛けてきた。
「大丈夫ですよ。諦めなければ、きっと彼もいつか振り向いてくれます」
爽やかな部下の笑顔を、アイカシア大佐が見事な回し蹴りでひしゃげさせたのと同時に、飛行機は地面を離れ、晴れ渡った空へと飛び立って行った。

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