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長い夜(エルメス×キノ・自慰モノ)

エルメス×キノ、ちょっと暗めな掌編です。
毎夜、自らを慰めるキノの声を聞かないふりをしてきたエルメス。
しかし、彼はキノの口から漏れでたとある言葉を聞いてしまう……。






ここ最近、眠れない夜が続いていた。全ては僕の相棒のせいだ。
「……………」
僕は無言のまま、キノが眠るベッドを見つめている。すやすやと安らかな寝息が聞こえる。部屋の時計がカチコチと針を進める音がやけにうるさい。
人も街も寝静まって、まるで世界中で僕一人だけが起きているんじゃないかと、そんな錯覚さえ起こしそうだ。
夜明けははるか遠く、昨日の夕焼けはまるで百年も昔の事に思える、真夜中のそのまたど真ん中、そこで僕はある事を待っていた。
「……そろそろ、かな?」
ギシリ。
ベッドのスプリングが軋んで微かに音を立てる。毛布に包まって、キノが身をよじる。しばしの沈黙。そして…
「……んっ…くぅ……あっ…」
やがて聞こえ始める切なげな声。耳をすませば聞こえる、くちゅくちゅという水音。キノの上に被さった毛布が震えるのが暗い中でもわかった。
キノは幼い自分の体を愛撫して、夢中になって快感を味わう。普段からは想像もできないようなエッチな姿。
だけど、だけれども、問題はそんな事じゃないんだ……。
「…ああっ……エルメスぅ…」
心に突き刺さる、その言葉。僕の名前を呼ぶ声が、今夜も僕の心を縛り付ける。

ずっと前から、キノがこういう事をしているのには気付いていた。
最初は驚いたけれど、人間にはどうしようも出来ない欲望があることぐらい知っていたし、気付いてしまった時には眠ってるフリをしてやり過ごすようにしていた。
だけどある晩、何かの拍子に(あるいはそれはキノの上げた声だったのかもしれない)目を覚ました僕は、それを聞いてしまったのだ。
『…うあああっ!!イクっ!!イっちゃうよぉ!!エルメスぅううううううっ!!!!!』
僕の名前だった。
その日は空がうっすらと明るくなるまで眠る事が出来なかった。
キノに手ひどく叩き起こされて、いつもと変わらないキノの姿を見て、あれは夢だったんじゃないかとも思った。
だけど、記憶に焼きついたあの声が忘れられなくて、ウンウンと悩んでいる内にまた夜は更けて……
「ふああっ!!!…エルメスっ…エルメスぅううううっ!!!!」
もう一度、聞いてしまった。
そして、可愛い声を上げてイってしまったキノはベッドの上に起き上がり、毛布をきゅっと抱きしめてこう言った。
「…エルメス……好き…」
もう、眠れるハズなかった。

そして今も、キノは無我夢中で行為にふけっている。毛布ははだけて、シャツは胸元までずり上げられて、ピンと立った可愛い乳首をつたない指先で転がす。
小さな体は刺激を感じるたびにバネ仕掛けのようにビクンと震える。声を抑えようとする努力はとっくに放棄され、ただ快感に促されるままに何度も切なげな悲鳴を上げる。
そして、何度も呼ぶ。僕の名前を……
「…ふあ…や…エルメスぅ…だめぇえええっ!!!!」
白い肌の上を這い回るあの指先に、キノは僕を感じているんだろうか?
その動きはまるでそれ自体が意思を持った生物であるかのように執拗で、貪欲で、お尻も脚も肩も背中もキノの体の上を余すところ無く愛撫する。
キノの呼吸はそれにつれて荒くなり、だんだんと意味のある言葉を発する事はなくなっていく。
だけど、僕はその声の中に、僕を呼ぶあの声を聞き取ってしまう。
「…あっ…やぁうっ…んくぅう……あ…エル…メスぅ…」
心がざわめく。今ここで全てをぶちまけてしまいたい、そんな気持ちが湧き上がる。
そうすれば、楽になれるのに。今までキノの行為を盗み見ていたことも、キノの気持ちを知っていることも、そして、僕自身の気持ちにいたるまで何もかも……。
「…ああっ!!…エルメスぅ!!…ボクはっ…もうっ!!!!」
キノの指の動きがクライマックスへと向けて加速されていく。あられもない声を上げて、乱れて、涙に濡れた瞳でキノは僕の方を見つめる。
「…ふあああああああっ!!!!!エルメスぅ…好きぃいいいいいいいいいっ!!!!!」

そしてまた、何事もなかったかのように僕とキノの旅は続く。
変わった事と言えば、何もしてない時にキノがぼんやりと、そして少し切なげな眼差しで僕を見つめてるとか、そういう事に気付いたぐらいで
「それじゃあおやすみ、キノ」
寝る前のあいさつだって、何の問題も無くできる。たとえこの後、この夜の間に何があるのだとしても……。
キノはそんな僕の気も知らないで、少し微笑んであいさつを返す。
「おやすみ、エルメス。明日も早いから、ちゃんと起きてよ。最近なんだか寝坊がひどくなったみたいだし」
「…………」
「エルメス?」
「何でもないよ、おやすみ!」
灯りが消える。夜は更ける。長い長い夜が今夜も……………。

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